リソグラフィー用EUV(極端紫外線)光源開発

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作成： 2003/09/24 高林　有一データ番号　　　：010254 リソグラフィー用EUV(極端紫外線)光源開発目的　　　　　　：リソグラフィー用EUV光源の開発放射線の種別　　：エックス線放射線源　　　　：リソグラフィー用光源フルエンス（率）：該当せず線量（率）　　　：115W 利用施設名　　　：特に特定されない照射条件　　　　：真空中応用分野　　　　：半導体製造概要　　　　　　：　半導体の高集積化には短波長のリソグラフィー光源が要求される。そこで、EUV(極端紫外線)は、次世代装置の光源として期待され、開発が進められている。EUVを発光するプラズマ生成には、LPP方式とDPP方式の方式がある。LPP方式は、デブリ発生が少ないが、EUV光への変換効率が低く、投入するレーザエネルギが膨大となる。DPP方式は、構造がシンプルで小型化が可能だが、放電部からのデブリ発生が課題である。詳細説明　　　　：　半導体素子の集積度の飛躍的増大に従って、半導体製造プロセスの微細化が急速に進展している。同時にシリコンウエハに塗布されたレジスト樹脂に集積回路のパターンを描画する光リソグラフィー技術も進歩してきた。高集積化に必要な解像度向上は、露光波長を小さくすることによってもたらされる。　　露光波長は可視光領域から水銀ランプのg線（λ=436nm）、i線（λ=365nm）を経て、KrFエキシマレーザ（λ=248nm）、ArFエキシマレーザ（λ=197nm）がリソグラフィー用光源として使われてきた。2000年版ITRSでは次世代露光装置として、F₂レーザ（λ=157nm）を光源とした露光装置を2004年に、極端紫外光（Extreme Ultra Violet；λ=10～14nm）を光源としたEUVリソグラフィーが2006～2007年に要求されている（図1）。EUV光源は、実用化時点で115Wの出力が要求されている。図1　Roadmap of EUV source development.（原論文1より引用）　　EUV光源は軟X線領域の10～14nmを用いるが、この領域は物質の光吸収が激しく、透過光学系は使用できない。そこで、13.5nmに高反射率波長を持つMo/Siの多層膜鏡による反射光学系で集光され、露光経路はすべて真空とする必要がある。これらEUVリソグラフィーの特徴の詳細は、参考資料1、2を参照されたい。　　EUV光は、ターゲットを励起したプラズマから放射される。プラズマ生成には、レーザ光によるLPP（Laser Produced Plasma）方式とDPP（Discharge Produced Plasma）方式とがある。　　LPP方式のEUV出力は、集光点で9.4Wが得られており、その光源装置構造を図2に示す。LPP方式は比較的デブリ（プラズマ発生過程でターゲットや装置から生じる粒子。集光ミラー等へ付着しEUV出力低下の原因となる）発生が少ないクリーンな光源と考えられている。13.5nmのEUV出力を得るためにXeやZnがターゲットの候補だが、現在ではデブリの発生しないXeを液体ジェットとして供給する方法が最も有望とされている。Xeジェットは、170K程度に冷却液化したXeを数十気圧の圧力で真空中に直径数十μmのノズルから連続的に放出される。　　Xeジェットに照射するパルスレーザは、電子温度50eV程度のプラズマ生成が可能な10¹¹W/cm²程度の照射強度が必要である。注入電力からレーザへ変換効率は最高くとも約25%、レーザからEUV光への変換効率は現状最大でも1%なので、総合効率は0.25%程度に過ぎない。EUV出力115Wを得るためのレーザは出力数十kWと見積もられており、大出力レーザ増幅器の大型化が今後の課題である。図2　EUV source in test chamber（原論文2より引用）　DPP方式のEUV出力は、集光点で22Wが得られており、その光源装置の概念構成を図3に示す。DPP方式ではEUV光を放出する高温プラズマを大電流パルス放電により直接生成するため、総合効率に優れ、小型化、低コスト化が可能である。　　放電ガスは、通常Xeが用いられる。電極と放電管からなる放電部に放電ガスとパルスパワーが供給し、プラズマを生成する。放電部にプラズマが近接あるいは接触しているため、これらからのデブリ発生は避けられず、デブリ対策がDPP方式の最大の課題である。放射されたEUV光は、放電部とプラズマが近接する構成とプラズマからの放射強度の角度依存性が急峻であるため、EUV光の捕集立体角が大きく取れない。このため、小さな立体角内に放射されるEUV光をできるだけ効率よく捕集する集光光学系が必要である。集光光学系は、デブリ対策を考慮しつつ高い効率を確保しなければならない。図3　GDPP Z-Pinch source（原論文3より引用）　LPP方式、DPP方式とも本格的なリソグラフィー用EUV光源の開発は、1990年代後半から始まったばかりである。“半導体の集積化は3年で４倍が実現される"というムーアの法則に今後も従って行くのならば、非常に近い将来には残された課題が解決されEUV露光装置が実用化されると期待される。コメント　　　　：　　EUVリソグラフィーの分野は、1980年代後半に原理的な可能性が示され、1990年代後半から実用化に向けた開発が欧米を中心にはじめられた。日本においても、種々の企業、研究機関で開発が進められてきた。次世代露光装置の開発の主導権を取り、付加価値の高い半導体製造の基盤を日本に取り戻すことを目標に、2002年9月に技術研究組合　極端紫外線露光システム技術開発機構(略称EUVA)が発足した。今後の活動とその成果に期待したい。原論文１ Data source 1：リソグラフィ用EUV(極端紫外)光源研究の現状と将来展望溝口計ギガフォトン㈱ J. Plasma Fusion Res. Vol.79, No.3(2003)219-220 原論文２ Data source 2： Progress and Current Performance for Laser Produced Plasuma EUV Sources H. Shields TRW / Cutting Edge Optronics Oral 232-Shields.pdf in 1st EUVL Symposium, Dallas, Texas 2002 原論文３ Data source 3： Gas discharge and laser produced plasma sources for EUV lithography Uwe Stamm, J. Brudermann, K. Gaebel, J. Kleinschmidt, J. Ringling, G. Schriever XTREME technologies GmbH Oral 231-Stamm.pdf in 1st EUVL Symposium, Dallas, Texas 2002 参考資料１ Reference 1： EUVリソグラフィと露光装置村上勝彦, 岡崎信次㈱ニコン　精機カンパニー、技術研究組合　超先端電子技術開発機構 J. Plasma Fusion Res. Vol.79, No.3(2003)221-225 参考資料２ Reference 2：リソグラフィ用EUV光源堀田和明ウシオ電機㈱レーザー研究　29, No.10(2001)638-644 キーワード：極端紫外線、リソグラフィー、、半導体、レーザ生成プラズマ、放電生成プラズマ、キセノンターゲット、デブリ、多層膜鏡、 extreme ultra-violet, lithography, semiconductor, laser produced plasma, discharge produced plasma, xenon target, debris, multilayer coated mirror, 分類コード：該当なし
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