多孔質フッ素樹脂膜への微細配線形成と異方性導電膜の開発

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作成： 2005/10/1 早味　宏データ番号　　　：010289 多孔質フッ素樹脂膜への微細配線形成と異方性導電膜の開発目的　　　　　　：シンクロトロン放射光を用いた多孔質フッ素樹脂膜の微細加工と異方性導電膜の開発放射線の種別　　：エックス線放射線源　　　　：シンクロトロン光放射設備利用施設名　　　：立命館大学シンクロトロン放射光設備照射条件　　　　：真空中応用分野　　　　：異方性導電膜、検査用インターポーザ概要　　　　　　：　　多孔質フッ素膜にX線マスクを介して、SR光（シンクロトロン放射光）を照射してアブレーションを行い、貫通孔を形成し、この貫通孔の壁面にめっき法で導体層を形成する方法で異方性導電膜を形成した。多孔質フッ素膜は繰り返し圧縮による膜厚回復性を有し、貫通孔壁面への導体層の形成後も膜厚回復性を保持することから、微細ピッチの半導体チップ検査用のインターポーザとしての実用化が検討されている。詳細説明　　　　：　　半導体デバイスの検査や基板などの電気特性検査において、被検査チップの電極と検査装置の電極を確実に接触させるためのコンタクト材として、ゴムシートに導電性ワイヤーを厚み方向に埋め込んだ構造の異方性導電シートが用いられている。この異方性導電シートは繰り返し使用に耐える耐久性とともに、ファインピッチの半導体チップへの対応、バーインテストと呼ばれる高温下で行われる加速劣化条件での検査にも適用できる耐熱性が求められ、また、最近では高周波検査にも対応できるように低誘電率であることが要求される。　　このような要求を満たす基膜材料として、多孔質フッ素樹脂に着目し、この基材に貫通孔を開け、貫通孔の内壁にめっき法で導電層を形成した異方性導電シートの開発を検討した。多孔質フッ素膜はポリテトラフロロエチレン（PTFE）膜を延伸することによって多孔化された素材で、比誘電率が1.6、-120～260℃の範囲で連続使用でき、非粘着性で、繰り返し圧縮を行った後にも膜厚が回復する弾性回復性を示す。　　この多孔質フッ素樹脂膜（厚み30μm）にX線マスクを介して、SR光を照射してアブレーションを行い、貫通孔を形成し、この貫通孔の壁面に無電解めっき法で銅/ニッケル/金のめっき層を順次析出させる方法で導体層を形成した。図1　開発品の構造図（原論文1の図2）（原論文1より引用）　　図1のように、貫通孔の直径は10μmで、30μmピッチのものが作製可能である。この異方性導電シートをφ2mmのプローブで圧縮し、荷重と導通抵抗の関係を調べた結果が図2であり、200g/mm²以上の圧縮荷重を加えれば、接触抵抗は20mΩ以下に安定し半導体デバイスの検査に必要な導通性を有することがわかった。図2　圧縮荷重圧と接触抵抗の関係（原論文1の図7）（原論文1より引用）　　一方、500g/mm²の荷重で圧縮を繰り返した時の接触抵抗の変化を調べた結果が図3で、10万回繰り返し後も耐久性を示すことがわかり、半導体チップ検査用のインターポーザとしての実用化が検討されている。図3　繰り返し圧縮における接触抵抗の変化（原論文1の図11）（原論文1より引用）コメント　　　　：　　フッ素樹脂にシンクロトロン放射光を照射すると高アスペクト比の微細加工ができることは知られているが、この技術をフッ素樹脂の多孔質膜に適用して貫通孔を形成し、この貫通孔の壁面部に導体層を形成することにより、多孔質フッ素樹脂膜の弾性回復性を活かした繰り返し加圧接触に耐える異方導電性を実現したことがこの技術のポイントである。原論文１ Data source 1：多孔質フッ素樹脂を用いた異方性導電フィルムの開発増田泰人、林　文弘、藤田太郎、上野山眞代、井戸本祐一、奥田泰弘住友電気工業㈱　エレクトロニクス・材料研究所 MES2004(第14回マイクロエレクトロニクスシンポジウム)講演予稿集p.141-144, 2004年キーワード：多孔質膜、フッ素樹脂、ポリテトラフロロエチレン、シンクロトロン照射、UVキュア、めっき、異方性導電膜、微細配線形成 Porous membrane, fluoro-polymer, Polytetrafluoroethylene, Syncrotron radiation, UV curing, Electroplating, Anisotropic conductive film, fine wiring fabrication 分類コード：010101, 010102, 010205
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