CTの有用性

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作成： 1996/12/20 山本　和高データ番号　　　：030003 CTの有用性目的　　　　　　：CT入門　-CT 発展の歴史とその臨床的意義- 放射線の種別　　：エックス線放射線源　　　　：X線管応用分野　　　　：医学、診断、考古学、非破壊検査概要　　　　　　：　CT検査は、高速螺旋状CT装置の開発に伴いCTが登場して以来の画像診断革命と言われてるように撮影の高速化や 3D画像の臨床利用が進み、診断や治療方針を決める上で最も重要な検査の一つである。そこで CT についての基本原理及び歴史を認識し、新しい技術である高速螺旋状スキャンについて、その利点と検査の臨床的意義を紹介する。詳細説明　　　　：１．CTの原理　名称のCTは、Computed Tomography(コンピューター断層撮影装置)の略号である。人体を透過した X線を検出器で数値化し、フイルムや蛍光板上の透視像として見るのでなく、コンピューターによって計算して人間の断層像を得ることを原理とした装置である。全身用CT装置の外観を図1に示す。図1　CT装置の一例（原論文1より引用）Ｘ線管、Ｘ線検出器、回転機構等を含むガントリー部、その前の前後に移動する患者用寝台さらに制御部・画像表示用CRTなどから成っている。　２．CTの歴史　 CTの進歩は、X線技術と画像再構成手法の二面の進歩から成り立っている。X線技術は、1895年レントゲンにより発見されて以来、種々の分野で応用技術が開発されて現在に至っている。また画像再構成手法については、1961年 Oldendorf、1963年 Kuhlと Edwards、1963年 Cormackのグループがそれぞれ dataをコンピューターによって画像に復元する試みを報告しているが、診断に有効な CT を開発したのは、イギリスの EMI 社中央研究所の G.Hounsfieldで1970年に頭部専用 CTの本格的開発が開始され1971年に第1号CT機がAtokison Morleys Hospitalに設置された。日本での1号機は、1975年東京女子医大に EMI MK-1 が設置された。CT撮影方式の進展により、スキャン方式が順次改良され現在第4世代まで発展し、実用化されている。　３．スキャン方式　各世代のスキャン方式を図2に示す。図2　CT各世代のスキャン方式（原論文2より引用） (1)第1世代のCT：Ｘ線管のTranslate(水平動作)と Rotate(角度1゜移動)を繰り返し検出器は水平移動をして、 Data を収集する方式(T-R)である。（図2a) (2)第2世代の CT：X線を扇型(fan beam)にすることにより第１世代より Rotate 間隔を大きくし、時間短縮を図る(T-R方式)。図省略 (3)第3世代のCT：Ｘ線を扇型とし回転動作(rotate)のみであるが、6～30個の検出器を回転させることにより Data を収集する方式。現在の高速螺旋状 CT 装置の多くはこの方式(R-R)である。(図2b) (4)第4世代の CT：500～800の検出器を円弧状に固定配置(Stationary)して、 X 線管のみを回転させてデータを収集する方式(S-R)(図2c)と検出器列の外側にＸ線管を配置し、その回転に同期して検出器リングを章動させる(Nutate)方式(N-R)(図2d)がある。　４．CT検査の意義　人体での微小なＸ線吸収差を検出して、従来のＸ線写真では得られなかった軟部組織の解剖学的構造とともに骨構造も明瞭に描出する事ができる。この特徴をまとめると次のようになる。 (1)CT検査は頭部、頚部、胸部、腹部、四肢等の広範囲の検査に適応できる。 (2)短時間で検査が出来、救急対応に優れる。 (3)痛みのない検査である。 (4)情報量が多く、位置情報が正確で 3次元情報が得られる。 (5)診断、治療の方針決定に不可欠な検査である。　５．CT値　非照射体の密度の違いにより X線吸収度が異なることを利用して、計算により画像を再現するために必要な係数をCT値と呼んでいる。CT値は、μ(object)-μ(water)/μ(water)×1000で表わされる。ここでμとは X 線線減弱係数である。人体臓器の多くは、水に近いμを持っていることから、水の CT値を0、空気の CT 値を -1000 と定義して定めてある。CT値の表示可能範囲は -1000～ +2000で、そのうち表示したい部分の中心にあたる CT値をウインドウレベルと呼び、また表示したい部分の最大の CT値から最小のCT値までの幅をウインドウ幅と呼ぶ。CT画像をフイルムに撮影する時には、多くの情報を含んでいるのでその中から目的にあった情報を見逃すことなく、判断しやすいように描写することが必要であり、そのためにウインドレベルとウインドウ幅を対象部位にあわせて撮影する。　６．高速螺旋状スキャン　連続回転が可能なスリップリング CTを用いて、テーブルを移動しながら連続スキャンを行う。通常テーブル移動速度はスライス厚と同じである。その利点は、スキャン時間の短縮や連続データにより 3 次元的に人体構造の把握が可能であること、造影効果が高い時期に撮影可能等がある。螺旋状スキャンの呼び方は、装置メーカーで異なり、東芝(ヘリカルスキャン),GE(JETTスキャン),日立(ボリュウムスキャン),SIEMENS(スパイラルスキャン)等がある。　７．3次元表示CT(3DCT) 　一連の CT 画像データから、任意の部位の画像を高速で３次元で再構成し表示する。3 次元画像にて、骨の内外表面や軟組織の表面を回転表示等の各種表示機能を用いて、詳細に観察できるので外科領域での手術計画、外傷診断に有効である。　８．造影検査　造影剤を用いて、病変と正常組織間の X線吸収値の差を大きくして病変部の描出能を増強する方法で造影剤増強法(contrast enhancement:CE)という。特にダイナミックスキャンと呼ばれる場合もある。ボーラスで造影剤を注入しながら連続的に高速スキャンを行って造影剤の流れを見る方法は、脳血管障害や腫瘍の良悪の判定に有用である。コメント　　　　：　現状の CTから、さらに走査方式の改良や検出器の多素子化高密度化、X線管球の大容量化、ソフトウエアの開発が進み、リアルタイムスキャンや CT透視法、造影法における自動設定機能等を加えた超高速スキャンと高画質化が進むであろう。原論文１ Data source 1： Sfida(スフィーダ)　全身CTスキャン島津製作所㈱パンフレット原論文２ Data source 2： Ⅱ．Ｘ線ＣＴ段床嘉晴大阪大学医学部診療放射線技術　上巻(改訂第9版)、監修:立入　弘、稲邑　清也、編集:山下　一也、速水　昭宗、P.82-95,　南江堂,1996 キーワード：コンピュータ断層撮影,Computed Tomography,CT値,CT value,高速螺旋状スキャン,ヘリカルスキャン,Helical scan,三次元CT,3DCT,3D 分類コード：030102,030103,030401,040304
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