乳癌の画像診断-超音波検査とマンモグラフィ

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作成： 1998/01/27 山本　和高データ番号　　　：030035 乳癌の画像診断-超音波検査とマンモグラフィ目的　　　　　　：画像検査法による早期乳癌の検出放射線の種別　　：エックス線,ガンマ線放射線源　　　　：X線管応用分野　　　　：医学、画像診断概要　　　　　　：　乳癌の発生頻度は今後も増加していくと推定されている。乳癌は治りやすい癌で、早期に診断して治療を行えば、5年生存率は90～95%と良好である。腫瘤のみを切除し、術後に放射線療法を併用する乳房温存術により、乳房そのものは残すことができるようになった。そのためには、検診などにより乳癌ができるだけ小さな時期に発見、診断することが重要である。乳癌の画像検査法である、超音波検査、マンモグラフィ(乳房X線検査)等について紹介する。詳細説明　　　　：　乳房は体の表面にあり、目でみたり、指でさわったりして、比較的容易に異常を自覚できる。乳房に凹凸やしわなどの変形がないか、乳房やわきの下にしこりにふれないか、乳頭部にただれや出血がないかといったことに注意して、1ヵ月に1度は定期的に自己診断を行ったほうが良い。　乳房に対する画像検査法は、自己診断で認められた異常所見の鑑別診断、触診では検出できないような乳癌の診断に有用である。　乳房の超音波検査には、5～10MHzの高周波の探触子を使用する。図1に乳房の超音波像を示す。図1　乳房の超音波像　　a)乳癌　　　b)線維腺腫の超音波像（原論文1より引用）　図1aは乳癌(硬癌)の超音波像である。腫瘤の形状は不整、辺縁粗雑で、やや縦て長であり、境界高エコーは不規則な帯状を示し、後方エコーは減弱している。図1bは良性の線維腺腫の超音波像で、このような典型的な場合には両者の鑑別は容易である。乳腺症は頻度の高い疾患であるが、超音波画像上、さまざまな形態を示し、乳癌との鑑別が困難なこともある。乳癌では血流が亢進していることが多く、腫瘤のカラードップラシグナルも良・悪性の鑑別の判定に用いられる。超音波検査では、マンモグラフィよりも空間分解能が低く、直径5mm以下の腫瘤になると、描出は可能であるが良悪性の鑑別は困難である。しかし、超音波検査は組織間の音響インピーダンスの差異を画像化しているので、乳腺組織との濃度分解能はすぐれており、放射線被曝がなく、任意の断面像を簡単に得られるので、特にしこりを触知する患者に対しては超音波検査は第1選択になると考えられる。　マンモグラフィは、乳房内の微細な構造を描出するために低電圧撮影ができる乳房専用のX線装置を用いて行う。図2に乳房用X線診断装置を示す。図2　マンモグラム　　a)乳房用X線撮影装置(原論文2より引用)　　　b)乳癌(矢印)のマンモグラフィ画像(原論文3より引用) 　図2aのように乳房全体をよく圧迫して乳腺組織の重なりができるだけ少ない像を撮影する。異常の疑われた部位は、局所の圧迫スポット撮影を追加する。脂肪組織の多い乳房では図2bのように乳癌が腫瘤陰影として描出され、診断も容易であるが、日本人女性に多い、小さくて乳腺組織による濃度の高い乳房ではマンモグラフィばかりではなく、触診や超音波検査を組み合わせるのが妥当である。典型的な乳癌はspiculaと呼ばれる周囲への星芒状の陰影を有する高濃度の腫瘤で、内部の濃度は不規則で微細な石灰化を伴うこともある(図2b)。微細石灰化像は良性病変でも存在するが、局所的に密集しているものや、線状に分布するものは悪性の可能性が高く、乳癌の診断に重要な所見である。　乳頭からの異常分泌があり、マンモグラフィでは確定診断が得られない場合には乳管造影が行われる。乳管を徐々に拡張し造影剤を注入する。乳管の陰影欠損などの所見より、乳管内の微小な癌も診断できる。コメント　　　　：　MRI、CTや⁹⁹^mTc MIBIを用いるマンモシンチグラフィも乳腺疾患の診断に利用されるが、スクリーニング検査としては超音波検査とマンモグラフィが適している。今後、乳癌の罹患率は増加していくと予想され、乳癌検診による早期の微細な癌の診断は、重要性が増していくものと考えられる。超音波検査とマンモグラフィの有用性は確立されているが、乳癌の診断におけるMRI、CTなどの画像検査の役割については今後の検討が必要である。原論文１ Data source 1：乳腺疾患(良・悪性)の超音波診断小西　豊神戸中央市民病院第1外科臨床画像13、362-371、1997 原論文２ Data source 2：乳房用Ｘ腺診断装置-Mammorex 東芝メディカル㈱パンフレット原論文３ Data source 3：マンモグラフィによる乳癌のスクリーニング東野　英利子筑波記念病院放射線科臨床画像　13(4),pp.379-387,1997 キーワード：乳癌、breast cancer、超音波検査、ultrasonography、マンモグラフィ、mammography、マンモシンチグラフィ、mammoscintigraphy 分類コード：030103, 030107, 030401, 040303
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