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作成: 1998/03/10 繁田 道男
データ番号 :040090
工業用照射装置および照射セル
目的 :コバルト-60およびセシウム-137線源の利用
放射線の種別 :ガンマ線
放射線源 :コバルト-60線源(Multi-Bq)、セシウム-137(1.5x1011Bq)
線量(率) :5kGy/h
利用施設名 :サカベン(ポルトガル)、ブルガリヤ原子力研究所
照射条件 :大気中
応用分野 :医療用具の滅菌、包装材料の滅菌、食品照射、改質、
概要 :
照射装置は、プロセス利用の大型のものと、小試料照射や試験に使用するもの(照射「セル」とう)とに分けられる。ポルトガルの施設はプロセス用であるが、インターロック等安全面を考慮したシステムに改善した報告である。ブルガリヤの論文は照射セルに関するものである。
詳細説明 :
ポルトガルの論文は、コバルト-60照射装置の安全性と運転作業の改善を行ったが、主としてこの改善についてのものである。すなわち、当初はロシアのものをIAEAの支援で設置した。その後、安全性および運転作業をCEN規格等に基づいて改善した。改善は、放射線モニタリングシステム、線源昇降機構などについて行われた。
放射線モニタリングシステムは、ガイガー・ミュラー型検出器を迷路の内側と迷路の入口に設置し、その出力は操作室で表示できるようにし、出力変化も日付と共に記録できるようにした。照射室の出入り口扉のキーは、線源昇降の運転キーと共通のワンキーシステムに改善した。照射ケースは,40×40×40cm3と40×40×80cm3の2種類が使えるようになっている。いずれもパソコンで管理できるようになっている。
この施設では、芳香性の薬草、コルク、包装材料、調合薬の滅菌、医療用具の滅菌を中心とする多目的の施設として稼働している。
図1 Distribution of the dose rate [kGy/h] in the cylindrical irradiation vessel: A-with rotation; B-without rotation.(原論文2より引用。 Reproduced from Radiat. Phys.Chem., Vol.46, No,6, 515-518 (1995), K.Krezhov, M.Chriatova, D.Genov, N.Genchev, V.Sechkariov: NIGU-5 Self-Contained Research Irradiator, Figure 3 (Data source 2, pp.518), Copyright (1995), with permission from Elsevier Science, Oxford, England.)
ブルガリヤの論文は、NIGU-5と称する照射用セルに関するものである。この装置の大きさは高さ 1165mm、直径 692 mmである。特長は、セルは円筒状で、容量は 5.6リットルと大きいにも関わらず、図1のように線量率分布が良く、最高/最低比が 1.2、中心部の容量 2.5リットルに対しては 1.1である。遮蔽容器表面の漏洩線量は14μGy/hと少ない。照射は1秒から999時間まで、1秒のステップでセットできる。セシウム-137線源の最大装荷量は 1.5×1011 Bq(40Ci)で、この場合の線量率は 5 kGy/hである。
コメント :
ポルトガルの論文は、安全を考慮した改善の報告である。現在世界で稼働しているプロセス用の照射装置は、これらの安全機構は当たり前としている。また、この施設については改善点が箇条書的で、大きさ・能力などについては不明である。
ブルガリヤの論文は、セシウム-137を装備した照射セルであり、小試料の照射を目的とした装置である。セル容量が大きいせいか、線量率分布は余り良くないように思われる。例えば、試験管のように小さい場合は良いが、ISOに基づく医療用具の滅菌を考えた場合には、1試料につき±10%の精度で照射が要求されている試験がある。この装置では、この要求を満たされないことが予想される。目的に応じて、放出エネルギーの高いコバルト-60を装備した装置が必要であろう。
原論文1 Data source 1:
Upgrading of a Gamma Radiation Facility
M.E.Andrade, N.Coelho and J.E.Oliveire
Physics Department, ICEN/INETI, P.O. Box 21, 2686 SACAVEM Codex PORTUGAL. UTR/ITIME Eatrada Nacional 10, 2685 SACAVEM PORTUGAL
Radiat. Phys. Chem., Vol.46, No.4-6, 503-506 (1995)
原論文2 Data source 2:
NIGU-5 Self-Contained Research Irradiator
K.Krezhov, M.Chriatova, D.Genov, N.Genchev, V.Sechkariov
Institute for Nuclear Research and Nuclear Energy at the Bulgarian Academy of Sciences. 72 Tsarigradsko Chaussee blvd, 1784 Sofia, Bulgaria
Radiat. Phys. Cham., Vol.46, No.4-6, 515-518 (1995)
キーワード:コバルト-60, セシウム-137、ガンマ線、照射施設、照射装置 密封線源、滅菌、インターロック
Co-60, Cs-137, gamma ray, irradiation facility, sealed source, sterilization, intelock
分類コード:040206
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