歯科用デジタルX線画像解析装置

放射線利用技術データベースのメインページへ
作成： 1998/02/27 中瀬　泰然データ番号　　　：030086 歯科用デジタルX線画像解析装置目的　　　　　　：CCDセンサーによりCRT上にデジタル画像を表示する歯科用X線撮影装置の紹介放射線の種別　　：エックス線放射線源　　　　：X線管応用分野　　　　：医学、歯科、画像診断概要　　　　　　：　歯科用の口腔内X線撮影は、従来写真用フィルムに記録されていた。最近はシンチレータを用いた小型のCCDカメラで撮影し直ちにCRT上に拡大、疑似カラー表示等を行い、診断をより正確にするとともに、その場で患者に病患部等を説明し容易に理解を得ることが出来るようになった。詳細説明　　　　：　歯科診断におけるX線撮影は、ごく普通の検査になっている。一般的には口腔内に小型の写真フィルムを入れて外部からX線をあてて撮影した後、そのフィルムを現像して病患部等の診断を行っているが、このフィルムの現像に数分間を要していた。また、患者への病患部の説明等についてもこの小型のフィルムをそのまま利用しているため、細部まで判らず、説明内容の理解も得にくかった。この現像時間を省略するとともにX線撮影と同時に病患部を確認し患者の目の前で大きな画面で説明できるような固体撮像素子(Charge Coupled Device-CCD センサー)が用いられるようになった。我が国では、輸入品を含めて5社から発売され、シンチレータ/CCD素子の組み合わせが4社(RVG-S,Dixel,CompuRay,Pana Digital)、直接受光CCDの使用が1社(Sens-A-Ray)である。ここでは大勢を占めるシンチレータ/CCD素子の組合せのセンサーについて紹介する。図1にそのセンサーの外観と、内部構造の概略を示す。図1　口腔内センサー　　　a)外観、　b)センサー内部構造イメージ（原論文1より引用）　センサーの受光面に入射したX線によりシンチレーター(蛍光体)が発光する、この発光の強弱をCCD素子で電気信号に変換しデジタル画像として記録する。CCD素子は、放射線に比較的弱いので図1bの例では、保護ファイバー束で防護しているケースである。このセンサーの重量は、約22g、CCDセンサーの画素数は、512×768、受像面積は図1bに示されているようにca.25×40mmである。各社ほとんど同形であるが、厚さが6～11.7mmと各社によって比較的ばらついている。　歯の病患部を上記センサーを用いてX線撮影すると、CRT上には白黒画像で表示されるが、白黒の濃淡をカラー化することにより見やすくなる場合が多く、目的に応じて各種のカラー表示が可能となっている。　得られた画像を疑似カラー表示し、各部のＸ線吸収線量、すなわち該当部の密度の違いを明確にした例を図2に示す。図2　口腔内患部のデジタルX線疑似カラー画像　a)原論文２より引用、　b)原論文３より引用　カラー表示により吸収線量(Ｘ線の透過の度合い)の差がわかりやすくなると同時に演算処理により注目する部位を強調したり、拡大、縮小、重複表示等が可能なため、病患部の診断が容易になる。また、インフォームドコンセントに関しても、大きな画面を見せることにより患者への説明が容易になり、処置に対する理解も得やすくなる。　一般的に、CCD素子を用いたデジタルX線画像診断の特徴は、次のようである。　①X線発生装置は従来の機器を用いることができ、CCD素子の感度が高いため、従来の写真フィルム使用の場合に比べて、20～50%の短時間で撮影が終了する。　②短時間撮影のため、ぶれがなくシャープな画像が得られると同時に被ばく線量は極端に少なく、感度グループDフィルムと比較すると約80%の線量を軽減することが出来る。　③センサーの劣化も少なく15万回以上の使用が可能との試験結果が得られている。　④データのコンピュータ処理が可能なため、病患部の強調、細部の詳細な描写が可能で診断しやすくなるとともに患者の個人データの管理が容易となる。コメント　　　　：　口腔内視鏡を併用すれば、外部からの実画像とX線画像とを同時に見ることができ、患者へのコミュニケーションもさらに良くなると思われる。また、高感度のセンサーも開発され患者のX線被曝線量が軽減されるようになった。さらに、パノラマ撮影用Ｘ線装置のデジタル化も進行しつつある。原論文１ Data source 1：コンピュレイ　デジタルX線画像処理システム㈱ヨシダパンフレット原論文２ Data source 2：ディクセル　歯科用ディジタルX線画像診断システム㈱モリタパンフレット原論文３ Data source 3：デジタルX線画像システムパナヘラウス　デンタル㈱パンフレット参考資料１ Reference 1：歯科用デジタルX線画像診断システムの特徴と各装置の比較塩島　勝、内藤　宗孝愛知学院大学歯学部歯科放射線学クインテッセンス、14(8),199-230, 1995 キーワード：X線画像解析、x-ray image analysis, シンチレータ, scintilator, 固体撮像素子、Charge Coupled Device,デジタル画像、degital image,口腔内センサー、oral sensor 分類コード：030401,030103
放射線利用技術データベースのメインページへ