中性子ビーム実験サービス

中性子が物質透過能力、軽元素検出能力に優れていることから、産業界では中性子ビームを利用して工業製品部材内部の可視化、リチウムイオン電池材料の結晶構造の解明、工業部材の深部に留まっている歪の計測等が盛んに行われています。この有益な中性子ビームを産業界の方々に広く活用していただくため、当協会では、「中性子ビーム実験サービス」を実施しております。当協会は貴社のご要望に沿ったサービスを迅速に提供いたしますので、研究開発における機動性の増強、放射線作業の回避、研究人員体制の実効的な強化、等においてお役に立つことと信じております。中性子実験を行いたいが、忙しくて実験に割く時間がない、中性子の利用経験が無い、実験結果のみ知りたい、実験施設まで遠くていけない、などでお困りの方は、是非お気軽にご相談下さい。実験および解析の全てを代行することも、一部分を分担することもできます。参考までに、利用装置、サービスの流れ、事務対応の流れを以下に記します。

なお、皆様の利用に係る情報の守秘義務を徹底しておりますので安心して本サービスをご利用ください。
 また、当協会では他の量子ビーム利用との相補性を常に考えて最適の利用をお勧めしています。この考察の参考となる「量子ビームの特徴と相補性」に関する一覧を関係者の皆様のご協力によりとりまとめいていますのでご覧ください。

1. 中性子ビーム実験サービスのメリット

  1. 時間の有効利用
    • 忙しくて中性子ビーム実験に割く人員に余裕がない場合に有効です。
  2. 当技術部の「トライアルユース」実施実績に基づく中性子利用技術の活用
  3. 実験を代行させるので、放射線利用のための手続等が不要
    • 放射線教育
    • 放射線取扱いのための健康診断
    • ガラスバッジ発行の諸手続き
  4. 中性子利用施設(J-PARC、JRR-3原子炉 (茨城県東海村))まで出かけなくてもすむ。
  5. 中性子利用に係る研究者、技術者の補完

2. 中性子ビーム実験利用装置

JRR-3原子炉施設およびJ-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)毎に、中性子ビーム実験サービスで利用できる装置及び産業利用の概要を示します。利用装置を、順次、拡張して行きます。

表1.JRR-3 施設の利用装置名および産業利用の概要
利用装置名利用の概要
高分解能粉末中性子回折装置(HRPD)Liイオンバッテリー材料の結晶構造、磁気材料の磁気構造の解明
残留応力測定装置(RESA)工業製品部材内部の残留応力分布
中性子ラジオグラフィ装置(TRNF)工業製品の損傷や内部構造及び作動の非破壊可視化
即発γ線分析装置(PGA)試料の元素組成を非破壊で分析
多目的単色熱中性子実験ポート(MUSASI)単色熱中性子を利用し、物性研究及び検出器等デバイスの開発
表2.MLF(J-PARC)の利用装置名および産業利用の概要
利用装置名利用の概要
茨城県材料構造解析装置(iMATERIA)Liイオンバッテリー材料・バッテリーパック・ナノ構造解析の結晶構造解析、
 金属の集合組織解析や相分率解析、高分子のナノ構造解析
エネルギー分析型中性子イメージング装置(RADEN)
 中性子源特性試験装置(NOBORU)
工業製品の損傷や内部構造及び作動状態の非破壊可視化
工学材料回折装置(TAKUMI)工業製品部材内部の残留応力分布測定、鉄鋼材の相転移過程その場観察
4次元空間中性子探査装置(四季)材料中の格子振動やスピン波などの動的構造の解明

3.中性子ビーム実験サービスの例

平成28年度から令和2年度の5年間で約30件の実験課題についてサービスを提供いたしました。具体的な研究分野と課題名を以下に例示します。

  1. 残留応力解析
    • 複雑な塑性加工を施した鉄鋼真直丸棒の残留応力解析
    • ねじり矯正加工を施した鉄鋼真直丸棒の残留応力解析
    • 中性子・X線の相補的利用による64チタン合金薄板の残留応力解析
    • 航空機用AA7050アルミニウム合金厚板材料の熱・加工矯正処理法に関する研究
    • 自動車用圧入プラグ炭素鋼部品の内部応力測定
    • 建設機械アタッチメント開発のための溶接部残留応力の評価方法確立
    • 溶接大口径管の残留応力測定
    • 塑性流動結合法によって製造されたリング・シャフト炭素鋼部品の内部応力測定
  2. 集合組織解析
    • 複雑な塑性加工を施した鉄鋼真直丸棒の集合組織解析
    • チタン合金線材の引き抜き加工工程における力学特性と集合組織の発達
    • 金属細線の集合組織と相分率解析
    • オーステナイト系快削ステンレス鋼の引き割れメカニズムに関する集合組織解析
    • マグネシウム合金押出し材のミクロ組織とプレス成形性に関する基礎研究
  3. 小角散乱によるナノ構造解析
    • 中性子小角散乱による窒素添加カーボンナノチューブの構造解析
    • 中性子小角散乱によるLi電池の劣化メカニズムの解析
    • オレフィン系エラストマの圧縮変形下における架橋構造
    • 熱可塑性エラストマの圧縮変形における架橋構造変化
  4. ラジオグラフィ
    • 中性子CT法による鉄鋼製塑性加工部品の組織観察
    • 中性子CT法による64チタンのTIG溶接部観察
    • 大型管式熱交換器の伝熱管端溶接部欠陥のCT法検出の試み
  5. 非弾性散乱による材料解析
    • 中性子線を用いたフォノン散乱解析

4.利用の流れについて

 実験サービスの流れを下図に示します。

 お客様は上記のサービス項目を一括してご利用できます。ご希望される項目を選択することもできます。

5.事務的対応について

実験サービスご利用の事務的な流れを以下に示します。

お問い合わせ、ご相談
先ずは、お気軽にご相談、お問い合わせ下さい。中性子利用の専門家が実験手法、中性子利用装置、実験サービス項目についてご相談に応じます。
お見積り
ご要望に基づいて、納期、費用などを見積書としてご提出いたします。
ご依頼(発注)
見積もり内容をご了承いただければ、依頼書(注文書)、実験試料をお送り下さい。
作業実施
ご依頼のサービス作業を実施します。
ご報告
ご依頼のサービス項目についての報告書を提出します。


中性子利用技術部

TEL:029-229-0848
FAX:029-229-0437

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